冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
それから茉白は遙斗の指示を受けながら口で言っていたイメージを文章でスケッチに書き込んだ。

「うん、なんとなくわかった。ハンカチで行こう。各500枚でそれぞれのタイプを4色ずつ作った場合と2色ずつ作った場合の見積もりを作って欲しい。」

「はい。」

「あとはもっとマシなデザインラフをデザイナーに描いてもらって。」

「はい…」

「会議では食品を入れられるジッパーバッグなんかも欲しいという声がありましたが…」
米良が言った。

「ジッパーバッグはたしかに良いんですけど、生産ロットが大きいんです。なので厳しいかもしれませんが…念のため最少ロットで見積もりお出ししましょうか?」
茉白は即座に答えた。

「お願いします。」


19時30分

「思いの外 長くなって悪かった。」
帰り際、遙斗が言った。

「いえいえ。ありがたいお話だったので。」
茉白が手のジェスチャーをつけて恐縮気味に否定する。

「具体的な話も進められて助かりました。」
米良が言った。

「では本日はこれで—」

———ぐぅ〜〜…

茉白のお腹が鳴った。

「す、すみません!緊張してお昼も食べてなかったので…」
茉白の顔が真っ赤になった。

「この後空いてるなら食事でも?」
遙斗が可笑しそうに笑いながら言った。

「え!?あ、えっとそんな、大丈夫です、どこかでテキトーに食べて帰るので。」

「適当に食べるなら、我々がご一緒してもいいんじゃないですか?」
米良が言った。

「でも…」

「俺の電話の仕方が悪くて緊張させたみたいだし、取引先との会食も営業の仕事だろ。」

「……はい。」

茉白は緊張気味に同意した。
< 22 / 136 >

この作品をシェア

pagetop