冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
冷静になると、とても失礼なことを言ってしまった。

「失礼なことを言ってしまって…申し訳ありません!!」
茉白は頭を下げた。

「遙斗は言葉がキツすぎる。」

「本当のことしか言ってない。」

(私バカだ…OEMの話も無くなるかも…)

———はぁ…

頭を下げたままの茉白を見て遙斗が溜息を()いた。

「別に、朝から晩まで必死に仕事してきたことを否定するわけじゃない。先週の資料も、今日の商談での商品の詳しさも、真嶋さんが必死に働いて勉強して努力して得たものだってわかるよ。真剣だって伝わったし、その年齢でそこまでの知識量がある人間はそういないだろうと思う。だからこそ、ここから先は自信を持ってもっと効率を考えて働いた方がいい。会社を継ぐつもりなら尚更な。」

「朝7時に呼び出すヤツに言われたくないけどな。」
米良がすかさず言った。

「あの時は何も知らなかったんだからしょうがないだろ。」
今度は遙斗がバツの悪そうな顔になった。

「真嶋さん、顔を上げてください。」

米良が言ったが茉白はなかなか顔を上げようとしない。

「別に怒ってないから。」
遙斗も言った。

「いえ…あの…すみません、涙が出てしまって…顔が上げられないんです…」

「…おい、遙斗のせいだぞ。」

米良に責めるように言われた遙斗は若干焦りを見せる。

「あの、えっと…ちが…」

茉白は仕方なく涙を頬に伝えたまま顔を上げた。

「ゆき…むら専務がおっしゃった通り…ずっと必死だったんです…でも成長できてるのかどうか…自分ではぜんぜんわからなくて…評価してもらえたのって初めてで、自信持っていいんだって…すみません…」

遙斗がハンカチを差し出した。

「結局俺のせいってことだな。」

遙斗は眉を下げて困ったように笑って言った。
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