冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
「あ!私そろそろ出ないと。」
スマホの時刻表示を見た莉子が言った。

「私今日はスワンさんの日なので…」

「直帰ね。了解。」

“スワンさん”というのはスワン用品店という、LOSKAの取引先の小さな雑貨店だ。
おばあさんが一人で店番をしているような昔ながらの店だが、品揃えのセンスにはこだわりを感じられるオシャレな店だ。
莉子が営業を担当する店で、月に一度訪問している。

「あそこのおばあちゃん、可愛いんですよね〜。うちの商品は“ハイカラ”なんだって。いまだにFAX注文か直接注文取りに行くかってのがアナログですけど、直接行って話してると超癒されます。」
莉子がニコニコして言った。

「うちの商品以外の品揃えも何気にセンス良くて、行くとついつい色々買っちゃうし〜。で、ついつい話し込んじゃって…」

「毎回直帰なんだよね。ちゃんと受注できてるから大丈夫だよ。行ってらっしゃい!」


(さて、私も仕事しなくちゃ)

今日は遙斗が予告していた通り、シャルドンのSNSアカウントでもLOSKAの商品が紹介された。
おかげでフォロワーも少し増え、シャルドン以外の店舗からもすぐに問い合わせがあった。
エンドユーザーの“かわいい”や“絶対買う!”というコメントを見られたのも嬉しい。

(すごい拡散力…)


(お礼の電話…)

これまで茉白から遙斗に電話をかけたことはない。スマホを前になかなか電話をかけられずにいた。

(忙しい人だし…雲の上だし……でも…)

思い切って電話のボタンを押した。
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