冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました

第13話 茉白の表情

「わぁ…」

鏡の中の茉白は、茉白自身にも先程よりも何倍も輝いて見えた。
それはメイクのせいでもあり、遙斗と二人きりの空気のせいでもあった。

「立ってみて。」

遙斗に言われ、立ち上がった。

「うん、いいね。さっきより少しナチュラルな感じかな。」

遙斗はメイク台に軽くもたれるように立った姿勢で、また上から下まで確認するように茉白を見た。茉白はいつものように緊張してしまう。

(どうしてこんなことしてくれるんだろう…)


「またその表情(かお)。」


「え…?」

「真嶋さんは米良には楽しそうに笑うけど、俺と話してるときは困った表情(かお)か緊張したような表情(かお)ばっかりだな。」

「え…」

「俺ってそんなに怖い?」
遙斗の方が困ったような表情(かお)で問いかける。

「………」

茉白は首を横に振った。

「え、えっと…その…たしかに雪村専務とお話しすると緊張しちゃうんですけど…それに最初にお会いしたときはたしかに少し怖かった…ですけど…」

「…あれは…たしかに悪かった。」

茉白はまた首を横に振った。茉白はあの時の非はあくまでも自分にあると思っている。

「今は、怖いわけじゃなくて…なんていうか…」

茉白は辿々(たどたど)しくも、遙斗の誤解を解くための言葉を探す。
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