冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
「雪村専務はまっすぐで…プロ意識が高くて…緊張してしまうというか…えっと…尊敬、みたいな感じっていうか…それに、こういう場でお会いすると…やっぱり雲の上の人…みたいな感じがして…」

「それはつまり、マイナスの感情じゃないってこと?」

茉白は今度はコクコクと首を縦に振った。

「マイナスの感情なんて全然ないです!!むしろプラス…だと思います。」

「なら良かった。」
遙斗はホッとしたような表情(かお)で茉白に微笑みかけた。

「ただ、俺は別に雲の上の人間なんかじゃなくて、こうやってここに立ってる。物理的にも、それに人間的にも地に足をつけてるつもりなんだけど…」

「あ、えっと…はい、雪村専務ご自身はそうしてるってわかります…」
(でも…オーラが溢れちゃってるんですけど……)

「だったら俺にも米良にするみたいに自然に笑ってくれない?」
遙斗は茉白の顔を下から覗き込むように言った。

「えっと………………善処(ぜんしょ)、します…」

茉白は(うつむ)きがちに、頬を赤く染めながら答えた。

それを見て、遙斗はまた優しく微笑んだ。

「このまま抜け出してドライブでも行きたいとこだけど—」

(え…)

「それじゃあ招待した趣旨から逸れるからな。」

遙斗はどこか残念そうに言うと、茉白を連れて会場に戻った。
遙斗の背中についていく茉白の心臓は高鳴りっぱなしだった。
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