冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
翌日
シャルドンエトワール本社・商談ルーム

茉白は気持ちを切り替えて商談に訪れていた。

「あれ、今日は米良さんは…」

商談ルームに現れたのは遙斗一人だった。

「ちょっと別件で立て込んでて。」

「そうですか…」
(今日はなんとなく米良さんにいて欲しかったけど…)
仕事には先日のパーティーもゴシップ記事も関係ない、と自分に言い聞かせた。

「えっと…今日は次のシーズンに発売するレイングッズの企画のご紹介で—」

茉白はあれ以来、毎回きちんとした資料を持参して商談に臨んでいる。


「うん、企画の内容はわかった。」

「もう少し商品ラインナップを協議しますのでまだ先にはなりますが…レイングッズは生地のプリントの関係で弊社から工場への発注締め切りも早いので、もし御社からご発注いただける場合は締め切り厳守でお願いします。」

「了解。ところで—」

遙斗の視線が資料から茉白に移る。

「なんか元気がない気がするんだけど。」
説明を終えた茉白に遙斗が言った。

「え?えっと…そう…ですか…?」

「…また困った表情(かお)に戻ってるし。」

「………」

茉白はどう答えたら良いのか、本当に困ってしまった。

「………」

「あ…そういえばMary'sの新作が発表されてましたね。」
沈黙に堪えられず、茉白はついMary's Closetの話題を出してしまった。

———はぁ…っ

遙斗が若干面倒そうな表情で溜息を()いた。
茉白は話題選びを間違えた、とすぐに後悔した。
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