冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました

第16話 影沼との食事

Amselとのコラボは茉白の予想より随分と好評だった。

——— 使えるものはなんでも使う

(使えるツテとかコネとか…あんまり警戒してたらダメなんだな…)
茉白は遙斗に言われた言葉を思い出して反省していた。

「こんにちは。」
店頭コラボの最終日、閉店間際の店内でまた影沼が茉白に話しかけた。

「影沼さん、こんにちは。影沼さんも片付けですか?」

「ええ、什器を持って帰らないといけないので。茉白さんもですか?」

店頭コラボは2週間の期間限定だったものが3週間に延長され、その間に商品の補充で何度か影沼と顔を合わせている。
縞太郎とも頻繁に連絡を取り合っているらしい影沼は、ごく自然に茉白を名前で呼ぶようになっていた。

「はい。でもほとんど売れちゃって、残りの商品も返品じゃなくて店頭に残して普通に並べていいって言われてるので、数だけ数えたら終わりです。お陰で良い実績ができました。」
茉白は笑顔で言った。

「ところで茉白さん、この後お時間ありますか?」

「え…はい。今日はこのまま直帰なので。」

「良かったら食事でもいかがですか?什器を持って帰る都合で車で来てるんです。」

「えっと………」
よく知らない男性と二人、という点で茉白は少し警戒してしまう。

「ああ、安心してください。私は今日中に什器を会社に持って行かなければいけないので、食事をしたらご自宅にお送りしますよ。」

「あ、ごめんなさい、失礼な反応しちゃって…。じゃあ是非お願いします。」
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