冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
「ところで、茉白さんはLOSKAを継ぐつもりということですけど、ご結婚はまだ考えていないんですか?」

「えっ…結婚ですか?んー…まだ、っていうより、あんまり真剣に考えたことがないかも…年齢的に友だちの結婚式に呼ばれることは多いんですけど。」
茉白は気まずそうに笑った。

「お付き合いしている方とはそういう話にならないですか?」

「え!?いないです、そんな相手。」

「へぇ…でも、好きな相手くらいはいるんじゃないですか?」

影沼の質問に、すぐに遙斗の顔が浮かぶ。
茉白は遙斗の顔のイメージを振り払うように首を横に振った。

「いないです!今は仕事に集中したいので。」
茉白は傍にあったグラス入りの炭酸水をクビっと飲んだ。

「影沼さんこそ、立場的に私よりよっぽどそういうお話が多いんじゃないですか?」

「ええ、まあ。縁談話は多いですね。とはいえ、私も茉白さんと同じような感じです。」

「同じ…」

「あ、私は気になる女性くらいはいますよ。」
影沼はにっこりと笑った。


「今日はありがとうございました。ごちそうになってしまってすみません。」
自宅に送り届けられた茉白は車から降りて、影沼に挨拶した。

「いえ、是非またご一緒しましょう。おやすみなさい。」

「おやすみなさい。」


「ただいま〜。」

茉白が家に入ると、縞太郎が玄関にやって来た。

「おかえり。」

(めずらしい…)

「影沼常務から連絡を貰ったよ。食事に行ったんだって?」

「え、うん。お父さんに連絡なんて丁寧だね。」

「楽しかったか?」
縞太郎が微笑むような顔で聞いた。

「ん?うん、まあ普通に。影沼さん、話しやすい人だね。」

「そうか。」
縞太郎はどこか嬉しそうに言うと、自室に戻っていった。
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