冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
「茉白さん、こんにちは。」

米良が茉白の背中に声をかけた。
米良の声とざわめきで、茉白は振り向く前に何が起きているのか理解した。

「こんにちは。」
遙斗だった。

「…こんにちは。」

普通の接客を心がけるがやはりまだ緊張してしまう。

「予定が合うかどうか微妙なところだっておっしゃってましたけど、来られたんですね。」

「茉白さんのためにスケジュールを1分単位で調整して、時間を捻出しましたよ。少しご無沙汰してしまいましたから。」

「また大袈裟に言いやがって…。この展示会には大口の仕入れ先もいくつか出てるから、できれば見ておきたかったんだ。」

「で、ですよね!うちにも来ていただけて嬉しいです。」

茉白と遙斗を見る米良はニコニコ…いや、どちらかというとニヤニヤしている。

「そういえば茉白さん、“キツネ”ありがとうございました。愛用してますよ。」

「ああ、いえいえ。使っていただけてるんですね。あのアイピローもサンプルをあちらに展示してて…」
茉白が二人をブースの奥に案内する。

「どの動物が良いか、お客さんに人気投票してるんです。意外にもワニが大人気で…」

「意外にも?」

「あ…」
口を滑らせた茉白は気まずさを見せつつも、楽しそうに笑った。

「雪村専務。」

誰かが三人の背後がら声をかけた。
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