冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
翌週

「新人の影沼です。右も左もわからないような未熟者ですが、本日からどうぞよろしくお願いします。」

未熟な新人は到底着られないような仕立ての良いスーツに身を包んだ影沼は、自己紹介で冗談を言って社内を笑わせた。

「しばらくは週2日程度で色々な部署の仕事を勉強させていただきますので、デスクはとくに必要ありません。」

「社長にもそう言われていますけど、本当に大丈夫ですか?」
茉白が聞いた。

「私はあくまでもAmselの人間なので。」
「あ…そう、ですよね。」

(私が不信感抱いてるって思って、気遣わせちゃったかも…)

「じゃあ、一通り社内をご案内しますね。って言っても2フロアですけど。」


茉白が社内を案内する間、影沼は各社員に丁寧に挨拶をし、様々なことを茉白に質問した。

「ここで出荷まで行っているんですか?」

「はい。うちは今のところこのオフィスだけで完結してます。Amselさんは外部倉庫でしたっけ?」

「そうです。都心よりも広い倉庫が借りられるので経費削減になりますよ。」

「あー、やっぱりそうですよね〜。ECサイトの出荷もそこからですか?」

お店などに向けた大量の出荷と、個人に向けたECサイトの出荷は在庫管理の方法などが異なる場合が多い。

「ええ、在庫は別で管理してますけど、外部倉庫のスタッフに任せています。慣れると便利ですよ。LOSKAさんも外部にしてもいいんじゃないですか?」

「うーん…私としてはしばらくこのままがいいかなぁ…」

「何故?」

「ECサイトが最近好調なんですけど、季節ごとにお礼のお手紙を入れたり、おまけもつけたりしてるんです。リピーターの方にも対応できるように社内で管理したくて。私もときどき手伝ってるんですよ。影沼さんもそのうち一度やってみます?」
茉白は楽しそうに言った。

「…ええ、是非。」
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