冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました

第20話 茉白と工場

それからも影沼はLOSKAで様々な仕事を経験した。

「茉白さん、今日は縫製工場に行くんですか?」

「はい。」

「良かったら同行させてくれませんか?」

(工場まで見たいなんて、本当に熱心。)


「え、私も運転できるから大丈夫ですよ?いつも運転してますし…」

工場まではLOSKAの社用車で行くことになっていて、茉白が運転席に乗り込もうとしたところを影沼に止められた。

「いやいや、女性に運転してもらうわけにはいきません。」

「………」

「茉白さん?」

「あ、いえ…じゃあお願いします。」


「LOSKAの縫製物は全部国内製造なんですか?」
運転席の影沼が聞いた。
縫製物というのは、コスメポーチやペンケース、財布など布や革、ビニールを縫って作る製品のことだ。

「全部ではないですよ。素材によっては海外でしかできないこともあるし、海外の方がクオリティが高いものだってありますから。でも国内で作った方が確実な納期の目処がつけやすいとか色々な面で安心感はありますよね。」

「うちも“日本製”にはこだわってます。」

「そうなんですか?この間のシャルドンさんのOEMのハンカチのときも、先に受注していたポーチが日本製で質が良かったから好評で、他にも何か…って、決まった話だったんです。」

茉白はあの時のことを思い出して、嬉しそうに言った。

(最初の商談のときはどうなるかと思ったけど…)
———ふふっ

「どうかしました?」

「あ、ごめんなさい。ちょっと思い出し笑いしちゃいました。」

「ふーん…」
影沼は怪訝そうな顔をした。
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