冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
「何ですか?話って。」
茉白はまた不審そうな顔で身構える。
「その…今日の用事っていうのは…影沼君か?」
どうやら縞太郎は茉白が影沼とデートをすると思っているようだ。
「ちがうけど…」
茉白の答えに、今度は縞太郎が怪訝な顔をする。
「そういう相手はいないんじゃなかったのか?」
「なにそれ…なんでデートって決めつけてるの?」
「じゃあ…」
———ふぅ…
茉白は呆れたように溜息を吐いた。
「シャルドンの雪村専務と秘書の米良さんと。ただの仕事の延長の食事会です。」
「シャルドンの専務?」
意外な人物の名前だったのか、縞太郎は驚いた顔をする。
「…雪村専務が…それに米良さんも、LOSKAの商品を気に入ってくれてて、気にかけてくれてるの。」
「………」
「今だって、傘のことで—」
「…雪村専務に特別な感情があるのか?」
(………)
「…ないよ。」
茉白は不機嫌な声色で答える。
「…でも、あったらどうだって言うの?」
「茉白、私はお前に幸せになって欲しいと思っているよ。」
「……それって、要するに影沼さんと結婚しろって言いたいんでしょ?」
茉白は呆れたままの口調で言った。
「LOSKAの経営はお前が思っている以上に厳しい状況だ。会社が潰れてしまえば、お前の生活も保証してやれない。影沼君は、LOSKAの経営ごと引き受けてくれると言っているんだ。」
(自分の生活くらい自分で何とかするのに…)
「お前では雪村専務とは釣り合わない。」
縞太郎は諭すように言った。
「そんなこと、言われなくてもわかってるよ。相手にされるわけないじゃない。そんなんじゃないのに余計な心配しちゃってバカみたい。」
「茉白…」
「とにかく、今日の食事会に深い意味なんて無いから。服装だって…仕事相手の、ましてや目上の人に失礼の無いようにしただけだから。」
茉白はそう言うと商談ルームを後にした。
「社長の…お父さんの気持ちもわかってるから。」
部屋を出る間際、茉白は縞太郎に背中を向けたまま言った。
19時
茉白は仕事を終えると、遙斗と決めた待ち合わせ場所に向かった。しばらく待っていると、一台の車が目の前に停まった。見覚えの無い外車だった。
茉白はまた不審そうな顔で身構える。
「その…今日の用事っていうのは…影沼君か?」
どうやら縞太郎は茉白が影沼とデートをすると思っているようだ。
「ちがうけど…」
茉白の答えに、今度は縞太郎が怪訝な顔をする。
「そういう相手はいないんじゃなかったのか?」
「なにそれ…なんでデートって決めつけてるの?」
「じゃあ…」
———ふぅ…
茉白は呆れたように溜息を吐いた。
「シャルドンの雪村専務と秘書の米良さんと。ただの仕事の延長の食事会です。」
「シャルドンの専務?」
意外な人物の名前だったのか、縞太郎は驚いた顔をする。
「…雪村専務が…それに米良さんも、LOSKAの商品を気に入ってくれてて、気にかけてくれてるの。」
「………」
「今だって、傘のことで—」
「…雪村専務に特別な感情があるのか?」
(………)
「…ないよ。」
茉白は不機嫌な声色で答える。
「…でも、あったらどうだって言うの?」
「茉白、私はお前に幸せになって欲しいと思っているよ。」
「……それって、要するに影沼さんと結婚しろって言いたいんでしょ?」
茉白は呆れたままの口調で言った。
「LOSKAの経営はお前が思っている以上に厳しい状況だ。会社が潰れてしまえば、お前の生活も保証してやれない。影沼君は、LOSKAの経営ごと引き受けてくれると言っているんだ。」
(自分の生活くらい自分で何とかするのに…)
「お前では雪村専務とは釣り合わない。」
縞太郎は諭すように言った。
「そんなこと、言われなくてもわかってるよ。相手にされるわけないじゃない。そんなんじゃないのに余計な心配しちゃってバカみたい。」
「茉白…」
「とにかく、今日の食事会に深い意味なんて無いから。服装だって…仕事相手の、ましてや目上の人に失礼の無いようにしただけだから。」
茉白はそう言うと商談ルームを後にした。
「社長の…お父さんの気持ちもわかってるから。」
部屋を出る間際、茉白は縞太郎に背中を向けたまま言った。
19時
茉白は仕事を終えると、遙斗と決めた待ち合わせ場所に向かった。しばらく待っていると、一台の車が目の前に停まった。見覚えの無い外車だった。