冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
遙斗は行き先を告げずに茉白を連れ出した。
待ち合わせをした時間よりも夜が深くなり、窓の外の景色が幻想的に流れる。

(雪村専務の運転でドライブしてるなんて信じられない…)

ほろ酔いの茉白の頭は夢を見ているような心地良さを感じていた。

しばらく車を走らせた遙斗が車を停めたのは、高台の展望公園だった。
遙斗は慣れた仕草で茉白の手をとり、車から降ろしエスコートする。

(…こんなの…)

茉白の(むね)が夜風にくすぐられてまた早い鼓動を奏でる。

「案外人がいなくて考え事するのにいいんだよな、ここ。」

「…考えごと…一人で来るんですか…?」

茉白の質問に、遙斗は微笑んで頷いた。

「米良も来たことないよ。」

茉白の胸が一層高鳴る。


(どうして…)



「影沼常務と、本当は何があった?」
遙斗が茉白の目を見据えて言った。

「え…」

「さっき聞いたとき、何か考えただろ?」

「………」
茉白はまた考えるように間を空けてしまう。

「俺には言えないこと?」

「…えっと…」

(言えない…?相談じゃなければ…べつに隠すようなことじゃないんじゃない…?)


「…結婚…を打診されています…」
茉白は俯きがちに言った。
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