冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました

第26話 彼女の選択

——— 俺には頼れない?

(どうして気にかけてくれるの?)

——— 雪村専務も満更でもないって感じに見えたけどなぁ…

いつかの莉子の言葉を思い出す。

(もしかして…って期待して、そのたびに憧れ以上の気持ちになっていく…)

(だけど…やっぱりあの人はシャルドンの雪村専務で…シャルドンの将来を背負っている人、なの)

(これ以上、気持ちが大きく、深くなったらいけない…)


「結婚の話、前向きに考えてみようと思うの。」

ある日の夜、自宅で縞太郎と夕食をとっていた茉白が言った。

「本当か?私はすごく良い話だと思うよ。」
縞太郎の表情がここ最近見たことないような明るいものになった。

(………)

(こんなに嬉しそうな顔するんだ…)

「あ、影沼さんには自分で言うから、余計なこと言わないでね。」
茉白は縞太郎に釘を刺した。


遙斗に憧れ以上の気持ちを抱いてしまっている事は茉白自身にももう否定できない。
だからといって遙斗とどうこうなれるわけではない。
それなら、“LOSKAを守る”と言ってくれた影沼と結婚するのは最良の選択のはずだ。

(雪村専務以外なら誰でも同じ、なんて身の程知らずな考えだけど…そういう気持ちのおかげで、今影沼さんと結婚しても後悔しない気がする…)
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