冷徹エリート御曹司の独占欲に火がついて最愛妻になりました
「はじめまして、LOSKAの真嶋です。よろしくお願いします。」

この日、茉白はAmselの商品企画部に初めて訪れていた。
Amsel自体に来るのも初めてだ。
他所の会社ということに加えて、未来の夫になるであろう影沼の親の会社ということに独特の緊張感を覚える。

「Amsel商品企画部チーフの墨田(すみだ)です。よろしくお願いします。」

Amselの女性社員が茉白に自己紹介した。
年齢は茉白より少し上くらいに見える。

「商品企画部は何人くらいいらっしゃるんですか?」

「私を含めて2名です。」

「えっ、LOSKA(うち)よりずっとたくさん新商品を発売されてるのに、少人数なんですね。すごい。」

「あー…まぁ、デザイナーはデザイン部ですし、協力会社とかもあるので。」
墨田はなんとなく歯切れの悪い口振りで言った。

その日、茉白は墨田の案内でAmselの社内を一通り見学した。

(うちと違って自社ビルだし、さすがに社員数も多い。男性は全員スーツ、女性もスーツか堅めのオフィスカジュアル…)
LOSKAのゆるく穏やかな雰囲気とのギャップに少し戸惑いを覚える。

(影沼さん、うちの雰囲気にびっくりしただろうなぁ…)

「墨田さんは、Amselで働いて長いんですか?」

「いえ、まだ1年と少しです。」

「え、そうなんですか?でもチーフなんて、優秀なんですね。」

「チーフといっても、部署は2名ですから。」
墨田が冷めた口調で言った。
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