天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)
「しかし、私たちが触れると、
火傷ができてしまうので、
うかつに触れることができないのです」

下級天使は、困ったように
「直接、触れないように、布にくるんで何とかここまで運んだのでが」

グルシアは、うつぶせで転がされている少女を見た。

「それでは、拘束衣を先に脱がせるしかないか」

「天使長様、それは危険です!!」
下級天使が叫んだ。

「私がいるから、何かあっても対応できる」

グルシアは手を軽く振ると、黄金の長剣がすでに握られていた。

「へたな動きをすれば、この長剣で、首と胴体は、一瞬で離れるからな」

それを聞いて、下級天使は緊張をして、魔女はベッドに顔を埋めた。

下級天使は、恐る恐る拘束衣の留め金をはずし、すぐに部屋の隅に飛びのいた。

「自分で脱げるだろう。口のテープも自分で外せ」

グルシアは立ったまま、魔女を見下ろした。

魔女はしばらく蛇のように身をくねらせていたが、
自由になった手で口のテープをはがした。

「酒が飲みたい・・」
第一声はかすれていたが、酒の要求だった。

<魔女らしいな>と、思いつつ
グルシアは、側にいる下級天使に命令をした。

「水を持ってきてやれ。酒はダメだ」
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