天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)
サリエルの感想に、
グルシアはむっとして、机の上の写真を急いで束ねた。

「まったく、こいつのせいで我々がどれだけ損失を受けたか、計り知れない」

「そうだね。相当に振り回されたね」

「ああ、24時間こいつの事を考えっぱなしだったが、やっと終わりだ」

サリエルは、おかしそうに笑った。
「24時間ねぇ・・
まるで恋する人のように、想い焦がれるようだね」

バシッ

グルシアは、サリエルの的外れの指摘に、怒りで赤くなって、机をたたいた。

冗談じゃない!!
自分たちが、どれだけコケにされたのか。

彼女らの目的は、魔界と天界の間、中間層のニンゲンたちを堕落させ、魔界に引っ張ること。

魔女たちは面白がって、誘惑攻撃をする。

「はぁーー、何言ってんだ!!
俺が、あいつにどれだけ手を焼いたのか、知っているだろうが」

大魔女、アレクサンドラ・・
魔女軍団でも、知恵者と言われる。

その姿は千変万化、まるで、天使の軍団をあざわらうかのように、
人間界にハニートラップ攻撃をしかけるのだ。

しかし、大魔女自身は、なかなかニンゲン界に現れない。
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