天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)
「メンソールの軽いやつしかないのかぁ、もっとタールとニコチン・・」

その要求を無視して、
グルシアは立ち上がり、クローゼットの奥に入った。
出て来た時には、赤ワインの瓶が手にある。

「赤ね、天使だからしょうがないか。
もっとテキーラとか、アルコール度数の強いやつがいいんだけどな。
何か、つまみになるものが欲しいなぁ」

魔女は、グチグチと要求を続ける。

グルシアは舌打ちしながらも、
キッチンに行き、冷蔵庫を開けた。

ブルーチーズを出し、戸棚を開けて、クラッカーの箱もついでに取る。
それから、換気扇をつけた。

「こっちに来い。
寝室では煙草はダメだ。臭いがうつるからな」

グルシアはグラスにワインを注ぎ、クラッカーにチーズをのせた皿をテーブルに置いた。

煙草の箱とライターも、一緒に置いた。

魔女は熊の着ぐるみを着たまま、もそもそとリビングのテーブルの前に座った。

「お前も付き合えや。
いやぁ、清廉潔白な天使長様は、こんな事はできねぇよな」

魔女は面白そうにニタァと笑ったが、
グルシアは無視して、箱から一本取って、ライターで火をつけた。

「ほうっ、天使長様、たばこを吸うんですかぁ」
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