天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)
「別のレポートって・・」

グルシアは、思わず普通に聞いてしまった。

「プレイのバリエーションとか、ニンゲン界でネット検索を随分したぞ」

魔女は淡々と、プレゼンのように語ったが、
思い出して、感情が高ぶってきたようで

「この件はアタシにとって、トラウマになった!
オトコを誘惑、凋落(ちょうらく)させるテクは悔しいが、
リリカのほうが上手い。
だから、あいつは、絶対にニンゲン界で仕事をする事を
希望すると思った。

だからアタシは、ニンゲン界に行かないで済む方法を検索して、魔界での仕事の道を選んだが
・・酒で失敗したな」

「・・なるほど」

こいつの少女の姿は・・
性行為への苦手意識、たぶん
トラウマのせいなのだろう。

「お前らが言う百合?
処女なんて、魔女にとっては、全く価値のあるもんじゃない。
むしろ、どれだけ、オトコを食ったのかが、勲章になるんだよぉ・・」

最後は、語尾が消えかかり、
魔女は、机にうつぶせになった。

グルシアは黙って、魔女のグラスにワインをつぎたした。

ライバルのいやがらせがあって、この魔女のキャリアが、大きく変わったのか。
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