天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)
俺は・・

グルシアは一瞬、パニック状態にはまったが、すぐに立て直した。

天使長としてのプライドと、数多(あまた)の修羅場をくぐった
経験が彼を支えた。

この修羅場は、初めてだが、対応をすぐにしなくてはならない。

「早く入れ!ドアは閉めるぞ。
声で指示するから」

「ふぁぁーーーい」
魔女は間の抜けた返事をした。

バタン
トイレのドアが閉められた。

「おい、とにかく下を全部脱いで、そのまま座れ」

「座った・・」

「力を抜けば、出るから・・全部出しきれ」
「ふゃ・・」

くぐもった音・・グルシアは頭を抱えた。

「終わったら、横を見ろ。
パネルがあるだろう?洗浄装置がついている」

「あーー、<びで>ってなんじゃ?」

「それは女性用で・・取りあえず押してみろ」

ギャ・・ニャニャ・・

エクソシストで、悪魔が苦しむような奇妙な音声が、ドア越しに響いた。

「おおおおお、止まんない・・・・」

「ばかっ!もう一回押せば止まるから」

「・・止まった」

なぜ、俺は・・こんなことを・・

バスタオルを巻いただけの姿で、魔女の入っているトイレに耳をくっつけて・・

変態・・
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