天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)
サリエルは、自分の緋色にメッシュが混じる金の髪に触れながら

「グルシア、君、会議中もそわそわしていたよね。
早くニンゲン界に帰りたいんじゃないの?
新婚さんだもんねぇ。
可愛いサンドラちゃん、一人にしておいて心配でしょ。
ペットカメラでも、つけておくのも手かも」

サリエルはからかうように、
グルシアの反応を楽しんでいる。

グルシアは漆原の姿になり、黒縁眼鏡をかけ、じろりとにらんだ。

こいつも邪悪だ。
天使の皮をかぶった悪魔だ。

「俺は忙しいのだ!さっさと出ていけ」

お怒りモードのグルシアを見て、サリエルは満足気に

「そのうち、様子を見に行くよ。天使長の奥様にお会いするのが
楽しみだ」

サリエルはその場で、緋色の翼を振って消えた。

確かに・・心配だ・・

グルシアは書類をそのまま置いて、金粉をまき散らして速攻で
ニンゲン界に戻った。
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