天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)
魔女は、グルシアの上からポンと飛びのいて、スキップするようにキッチンに消え去った。

グルシアは、首をひねった。
ええ・・
次の瞬間、飛び起きた。

あいつ、俺に触ったはずだ。

シャツを脱いで肩を確認すると、別に異常はない。
「えええ・・」

俺は火傷をしていないか・・!!

バタンッ・・

グルシアは、勢いよくリビングの扉を開けた。

「お前っ!俺に触っただろう!!」

座っていた魔女は、スプーンを
くわえて振り返った。

「ん、だぁって、起きないから・・」

「お前!!・・お前は火傷をしていないのかっ?」

グルシアは、座っている魔女を見下ろした。

「うん、今のアタシは魔力がないから、誰かに触っても問題ないけど、天使長が触れば
アタシが火傷するよ。
アンタはここでも、天界の力を持っているからね」

グルシアは脱力したように、開いている椅子に座り込んだ。

「俺が触ればNGで、お前が触るなら、OKって事か」

魔女は、スプーンにアイスクリームをてんこ盛りに盛って、口に運んだ。

「このニンゲンの体ならそうだよ。ほらね」

魔女はアイスのカップを置いて、グルシアの手の甲に、指先をぺとっと触れた。
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