天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)
冷たい指先。

グルシアは一瞬、身構えたが、何も起きない。

「ふーーむ」

グルシアは椅子に寄りかかり、
魔女を上から下に観察した。

ベビードールとおそろいの白レースのパンティは、横ひもリボン結び、かろうじてTバックではない。

「それも買ったのか」

「うん、オットが喜ぶって書いてあった」

魔女は得意げに、スプーンでカップの縁を叩いた。

バンッ

グルシアは、テーブルに手をついて、いきなり立ち上がると、
無言で寝室に行った。

戻ってくると

「これを体に巻け!!食べ終わったらすぐに寝室に戻れ!!」

大声で言うと、手に持っていた
毛布を、魔女の頭の上に落とした。

「なに、怒ってるんだよぉ。
アイス、食ってるだけじゃん!」

魔女は、毛布をよけながら、頬っぺたを膨らませた。

「お前!!俺を襲うつもりだったんだな!!」

グルシアは、赤くなって怒鳴った。

天使の貞操の危機だ。
これは・・こいつは・・何かたくらみ、俺を挑発している!!

「おまえは、俺に触り放題だろうが!!」

魔女は、スプーンをスコーンと
グルシアに向けて、放り投げた。
< 43 / 67 >

この作品をシェア

pagetop