天使の受難 アレクサンドラとグルシア（魔法の恋の行方・シリーズ１０）

それでは、いつまでたっても、
自分の仕事は減らないし、終わりが来ない。

「悪魔や魔女も、ニンゲン界に
野放しにするべき意味があるとお考えなのですねっ」

グルシアの憤りを察してか、
長老はフンと鼻を鳴らした。

「その通り、だから魔女に徴（
しるし）をつけて、
ある程度のコントロールしながらも、ニンゲン界を守らねばならない。
魔女たちもニンゲンに紛れて、無害化してくるしね。
要はバランスをどう取るのかが、
我々の課題になる」

長老は腕組みをして、自分の持論に納得するように何度もうなずいた。

「当然、君は徴（しるし）のつけ方をしっているだろうが」

徴（しるし）をつける。

簡単に言えば、ニンゲン界において、魔女と天使がにゃにゃにゃの性行為をすること。

天使の体液が、魔女にそそがれれば完了だ。

「ええ、通常は天使に近い、
ニンゲン界のオトコを使います。
魔女を無害化させるのには、
一番確実なやり方ですから」

徴（しるし）をつけられた魔女は、普通のニンゲンのオンナとして、生活することになり、魔力もなくなる。

グルシアは、ニンゲン界の結婚式に、出席したことを思い出していた。