天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)

徴(しるし)か封印か

<徴(しるし)か封印か>

グルシアは、ベッドにぶっ倒れている魔女の側に、水の入ったペットボトルを持って座った。

「これを飲んだ方がいい」

魔女は自分の腕で、目を隠すように置いて言った。

「今日のピアノは楽しかったな。
楽しいと笑うはずなのに・・
なんで目から水が出るのかな。
胸が詰まる感じがする」

魔女は、スンスンと鼻を鳴らした。

「お前は魔女の中でも、イレギュラーな存在なのだろう。
邪悪というより、<邪悪さを演じなければならない>という立場にいたのではないか?」

グルシアは立ち上がり、窓のレースのカーテンを閉めた。
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