天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)
結婚・・神の祝福・・
その場にいた誰もが、幸せを感じていたはずだ。

当事者の魔女は、純白のウェディングドレスを着て、その姿は美しい。
子どもが生まれて、家族ができ、
魔女は完全に無害化される。

愛する者、守るべき者があることが重要なのだ。

「普通の魔女なら、その方法が一番簡単だが・・・・」

長老は、口に手を当てて、含みを持たせた。

「今回捕らえたアレクサンドラは、その方法が取れないから・・困っているのだ」

さっさと、オトコ天使と性行為をさせればいいだけなのだが、
何が困難なのか?

「なぜですかっ?あいつは狡猾で、知恵が回る邪悪度の高い魔女ですよ。
俺も、相当に振り回されましたからね」

長老は口元で、大きな手の指を組み、白く垂れたまゆ毛の隙間から、グルシアをにらむように見た。

長老は過去に、いくつかのニンゲンの街を、せん滅させている。

その威圧感に、グルシアは黙り込んだ。

「アレクサンドラは、
その・・<百合の花>ということだ」

<百合の花>・・それは純潔をしめす乙女の象徴だ。

オトコが、まだ触れたことのない処女。
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