天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)
魔女は、悩んでいるグルシアを見て言った。

「封印されるなら、ワイナリーのあるブドウ畑が見える丘がいいな。
アンタがワインを飲むとき、ちょっとだけ、アタシの事を思い出してくれたら・・いいと思うけど」

そうか・・!!
ワイナリー・・ワインだ・・!!

グルシアは膝を打った。

「方法がないわけじゃない!」

グルシアは立ち上がり、クローゼットの中にしまってある数本のワインから一本選んだ。

ソムリエナイフで、急いで封を切り、グラスに注ぎ入れた。

「これは修道院のブドウ畑でつくられている限定品のワインだ。
儀式の時に使う」

グルシアはワインを1/3ほど、
グラスに注いだ。

「まず、これを飲んでみろ」

魔女は、グラスを受け取り、その香りを確かめた。

「いい香りだ。気品を感じる」

それから、目を閉じて口に含んだ。

「おいしい・・熟成されて、まろやかだ。角がない。
アタシの最後のワインかな」

「聖別されたワインを飲めるのなら、大丈夫だ。可能性がある」

邪悪な魔界の者は、聖別された
ワインを飲むと、喉が焼けるように痛み、すぐに吐き出してしまう。

この魔女の無害化は、まったく問題ないレベルに来ているということだ。

グルシアは、首からネクタイをはずして、魔女に差し出した。
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