天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)
「次に、これで俺の手首をしばれ。後ろ手にしろ」

「なに・・やろうとしてんだよぉ」

魔女が困惑して、大声を上げた。

「これから・・徴(しるし)をつける」

「アンタはバカか!天使生命をダメにするんだぞ!!
そんなこと、アタシにできるわけないじゃないか」

グルシアは、真剣なまなざしで魔女を見た

「もし、お前が、天界の指示でこのまま封印されたら、俺は・・
ずっと後悔する。
その想いを、引きずっていく自分が許せない!そう、思った」

そう言うと、受け取れとばかりに、ネクタイを魔女の膝に投げた。

「でもさ、アンタも焼かれるんだぜ。このまま・・」

「方法がある。試してみる価値はある」

グルシアはきっぱりと言い切った。

「とにかく、手を縛れ。俺が何かの拍子に触れたら、お前が火傷で傷つくからな」

「うーーーん、わかったよぉ」

魔女は立ち上がり、座っているグルシアの両手を縛った。

「まず、お前がそのワインを口に含め。そして、そのまま俺に飲ませるんだ」

「ちょい、ちょい、待ってさぁ・・それって」

「時間がない!やるんだ」

「ああ、でも、アンタ、魔女と
キスするんだぜ。大天使のキャリアに傷がつくぞ」
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