天使の受難 アレクサンドラとグルシア(魔法の恋の行方・シリーズ10)
魔女の腰が引けているのを見て、グルシアは力強く言った。

「今、やるべきは、お前がこの世界で、なんとしてでも、生き残ることだろう。
生き残れば、もっとたくさんの楽しいことができる!!
魔界とは、違う生き方を選べ!!」

グルシアの言葉に、魔女はうなだれて聞いていたが、

「そうだね。きっと・・でもさ、アンタにとって、危険なだけで、何の意味もないよ。
なんで、こんな事をするのかわかんないよ」

グルシアは静かに言葉を紡いだ。

「意味がない。目的もない。
あるのは・・ただ、お前を封印したくないという想いだ」

魔女は、首をブンブン横に振った。

「アタシは・・アタシだって、アンタを危険にさらしたくないよ。
失敗したらアンタだって、どうなるかわかんないんだよ」

グルシアは少し考え込んで

「わかった。それでは、まず残りのワインを全部、俺に注げ。
そうすれば炎で燃えることは、防げる」

魔女は、瓶を手に取った。

「頭からぶっかけろ。いいか。
やるんだ」

「うん・・でもさぁ・・」
そう言いながら、
魔女はワインをグルシアの頭から注いだ。
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