イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く~お前は俺のもの
周りの女性が笑っている。こいつは調子に乗せるとずーっとしゃべり続ける。
弁護士は口達者な奴が多い。こいつは達者というか、芸人みたいなんだよな。まあ、明るくて俺は好きだけどね。
「悪い。事務所長来てるか?」
「はい。今日も一番乗りでしたよ。すごいですね。相当早起きなんじゃないですかね」
「馬鹿。お前こそ早起きして来いよ。ちょっと話があるから空いてたら話してくる。仕事少しの間頼めるか?午前中急ぎは?」
「今日は午後二時から蓮見商事ですので、少なくとも午前中は一度みてもらいたいものがあります」
「わかった。急いで戻る」
そう言うと、所長室へ行った。
新村清兵衛というのが爺さんの名前。まるで、時代劇のような名前だ。聞いた時は笑ってしまった。だが、爺さんは婆さんに『せいさん』と呼ばれている。そのせいか、知り合いはそう呼んでいる人が多い。
その時代劇のような名前のプレートのついた部屋をノックする。
「はい」
「失礼します。おはようございます」
「ん?海斗か……なんだ、朝から……昨日の夜にお前の兄から話なら聞いたぞ」