イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く~お前は俺のもの
「いいえ。机の準備をしておこうと思ったんだけど、総務の仕事に手間取ってくるのが遅れてしまったんです」
朝別れてから半日程度しかたってないのに、抱きしめたくなる。どうしたらいいんだよ。無意識に手を伸ばしかけて、引っ込めた。何も言わない俺を心配そうに見ている。
「どうしたの?」
小さい声で敬語を取って聞いてきた。
「いや。先ほど社長と会った。週末のこと少し言われた。後で詳しくメールしてくれ」
「ごめん。早めに連絡したかったのに、バタバタしていて連絡してなかった。おじいちゃんにも聞いたら土曜日になりそう。午後だよ」
「了解」
法務のフロアが見えてきた。部長の後ろの頭が見える。
「部長」
声をかけると、顔を上げてこちらを見た。
「ああ、いらっしゃい。早かったですね」
「すみません。まだいいですよ」
「早見さん、打ち合わせ室で……」
「はい、部長。すぐにやります」
そう言うと打ち合わせ室に茜が入り、机を動かそうとしているので、入って手伝った。
「あ、ありがとう」
「あいつはどうしたんだ?」