イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く~お前は俺のもの

 「いいえ。机の準備をしておこうと思ったんだけど、総務の仕事に手間取ってくるのが遅れてしまったんです」

 朝別れてから半日程度しかたってないのに、抱きしめたくなる。どうしたらいいんだよ。無意識に手を伸ばしかけて、引っ込めた。何も言わない俺を心配そうに見ている。

 「どうしたの?」

 小さい声で敬語を取って聞いてきた。

 「いや。先ほど社長と会った。週末のこと少し言われた。後で詳しくメールしてくれ」

 「ごめん。早めに連絡したかったのに、バタバタしていて連絡してなかった。おじいちゃんにも聞いたら土曜日になりそう。午後だよ」

 「了解」

 法務のフロアが見えてきた。部長の後ろの頭が見える。

 「部長」

 声をかけると、顔を上げてこちらを見た。

 「ああ、いらっしゃい。早かったですね」

 「すみません。まだいいですよ」

 「早見さん、打ち合わせ室で……」

 「はい、部長。すぐにやります」

 そう言うと打ち合わせ室に茜が入り、机を動かそうとしているので、入って手伝った。

 「あ、ありがとう」

 「あいつはどうしたんだ?」
< 109 / 250 >

この作品をシェア

pagetop