イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く~お前は俺のもの

 茜が歓声を上げた。嬉しそうな部長。よかったな。

 「すごいですね。これ全部作ったんですか?」

 「そう」

 「ありがとうございます。母が喜びます」

 「高梨君は実家なんだ?」

 「はい、そうなんです」

 「いや、君はいい息子だろうな。なんとなく親だったら可愛がりそうだ」

 部長が笑いながら言う。

 「先生はひとり暮らし?」

 「はいそうです」

 「料理は?」

 「まあ、そこそこやります」

 茜がジロッと見ている。嘘つきと言っている目が怖い。

 「早見さんは実家?」

 「いえ、私もひとり暮らしです。すごく助かります。また、出来たらくださいね」

 「ああ、もちろん。まあ、食べてみてね」

 会社とは思えないような和やかなムードで終わった。
 にこにこ部長に挨拶をした。

 「高梨君。ちょっと残ってくれる。今後のこと話したいんだよ」

 「わかりました」

 「あ、早見さんは先生をお送りして」

 「え?」

 「このまま一人で帰すと会計部でまた話しかけられて帰れなくなるからね」

 部長がそう茜に小さい声で教えた。茜が驚いている。
< 112 / 250 >

この作品をシェア

pagetop