イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く~お前は俺のもの
部長、なんだ見てたのか、前回。
そうなんだよ。この間は結構大変だった。
エレベーターのボタンを押させてもらえず、話しかけられた。今日のあの巻髪の女性とチョコレートをのせてきたコーヒーを出したもうひとりの女性。
「先生はおいくつなんですか?」
高梨が聞いてきた。
「二十七になります」
「若いですね。俺とひとつしか違わないじゃん」
「そうですね、まだ駆け出しです」
「いやあ、弁護士の駆け出しと俺らの駆け出しには大分差がありそうですけどね」
「とんでもない。私も足りないところがあるかもしれないのでいつでも言って下さい」
「まあ、そうですね。そのうち男同士で飲みませんか?」
「そうですね、是非。じゃあ、失礼します」
作り笑いをして後にする。茜がこちらを心配そうに見ていた。
茜が俺の後ろを歩いてくる。会計部がざわざわする。茜は走ってきて、俺の横に並んだ。会計部から守るように。
「茜、ありがとう」
茜に笑いかけると、茜が恥ずかしそうに下を向いた。
なんだ?どうした?
「どうした?」