イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く~お前は俺のもの
「……茜。あいつに子供のいないことが全ての発端じゃが、何も高梨工業の息子でなくてもいいんじゃ」
「え?」
「海斗君。君でもいいんじゃよ」
「はあ?俺は弁護士です」
「なあに、弁護士でも社長になるやつはごまんとおるわ」
「ちょ、ちょっとそれは……違います。それより、社長とは気が合わないかもしれません。さっきあれだけ喧嘩してしまって、正直今後顧問弁護士やっていけるか不安になってきました」
確かに。あれだけ喧嘩してこの会社のためにとか、あの社長のためにとか考えたくないよね。
「君はこれからうちの顧問になって、うちの仕事についてイヤでも知ることになるだろう。うちの財務状況をはじめ何から何まで。変な話、他の社員より見る資料が多くなる。しかも最重要書類じゃ」
「……それはそうでしょうけど」
「茜が欲しいんだろ?茜はうちの会社にいる。しかもわしの孫。高梨より君の方が優秀なら、わしは君を選ぶ。何しろ、茜も君がいいんだ。清兵衛にも申し訳も立つ。茜の親も君を選んだんだろ?」
私の方を見て笑っている。そ、それはそうだけど……。