イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く~お前は俺のもの
 
 夕飯を作って海斗の部屋へ持って行った。

「おい、茜。お前の会社で仕事持ち帰りなんて聞いたことないからさ。どうしたんだよ?」

 逃げるように部屋を出ようとした私の腕を引っ張って、顔をのぞき込まれた。

「……な、何もないよ。ちょっと忙しくてそれだけだよ」

 海斗は私の顔をじっと見ている。私が目を合わさないのを見て黙っている。

「ふーん……」

「じゃ、じゃあね」

 そのまま逃げるように帰ってきた。

 その日以降、私は海斗を少しずつ避けるようになった。もちろん、海斗がいないときに合鍵で入り、部屋を片付けたり、料理を置いてきたりはする。合鍵は海斗の部屋のは預かっていて、私の部屋の合鍵は渡していない。

 このままじゃだめだ。私は密かにあることを決心した。
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