イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く~お前は俺のもの
 
 ザーザーと手を洗う音がする。

 「材料出してくれよ」

 「はあ?結局また私がやるんじゃないの?」

 「いいから、いいから。炒めるのは俺がやるから」

 ふたりで笑いながら鍋を出したり材料出したり。こんな生活もあと少しだな。でもこの忙しさで引越準備出来るのかな、私。

 私は深鍋にお湯を沸かしてパスタをゆでる。その間に海斗がソーセージやピーマン、タマネギ、ニンジンを豪快に切る。

 「海斗。聞いてよ、私七月から法務部と兼務になるの……どうしよう。海斗と離れてから法律のことやるなんて、本当に私ってついてないかも。海斗が近くにいるうちなら色々聞けたのにな……」

 「それなら、引越やめろよ」

 材料を炒めながら言う。

 「……それは無理。でも引越の準備する時間がないかも。お金かかるけど、お任せパックにしようかな」

 「どこへ引っ越すつもりだった?」

 「一駅先の駅から五分のマンション。すごいでしょ?たまたま空いてたんだ」

 「ふーん。一駅先って事は会社に近くなるのか?どうせならもっと近くにすればよかっただろ」
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