イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く~お前は俺のもの
「だって、あんまり近づくとおじいさまに蓮見の家に来いって言われるから絶対いや」
「……なるほど。でもそれならここでもよかっただろ。引っ越さなくてもお前のしたい婚活とやらはできるぞ」
海斗の馬鹿。あなたの周りの女性を見るのがいやなんです。
「……」
何も言い返さない私を炒め終わった海斗がじっと見ている。海斗はあれから何も言わなくなった。諦めが良すぎて、それも不気味なくらい。まあ、私はその間に引っ越ししようと画策しているわけだ。
「おい、パスタ、のびるぞ」
そういうと、鍋からパスタをあげてフライパンで最後に絡めている。いい匂い。この匂いももう終わりだな。
皿に盛り付けて、ふたりで食べ始めた。
「茜。俺も仕事内容を変えることにした」
「え?」
「民事法務をしばらく少なくして、企業法務案件や税務調査、人事労務関係を中心にする」
「ふーん。難しくてよくわかんないけど、頑張ってね」
「……お前。相変わらず鈍いな。何も聞いてないのか?」
小さい声で何か呟いている。