イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く~お前は俺のもの
 
 俺は部屋に戻ると呟いた。

 茜は俺のことを幼馴染みでしかないといつも言うが、俺にとって茜は許嫁でしかない。

 爺さんから茜と将来結婚しないかと聞かれたのは小学校高学年の頃だった。親には話してあったそうだが、一度も聞いたことがなかった。

 実は爺さん同士では許嫁にしたいと思っていると言われたのだ。俺は嬉しかった。茜のことが好きだし、許嫁ならいちいち告白しなくても一緒になれるだろうと思ったのだ。

 小さい頃の茜はいつもにこにこして、何か助けてやるとすぐに海斗はすごいね、かっこいいねと素直に褒めてくれた。それがうれしかった。

 その頃。親族の結婚式へ茜と一緒に参列した。それ以降しばらく結婚式ごっこに付き合わされた。兄も茜の新郎役をやりたがったが、茜が自分の相手は海斗じゃないと嫌だと泣いた。嬉しかった。

 つまり、あの保育園、いや小学校くらいまでは確実に俺のことを好きだったと思う。それが、いつの間にか、そうだ、中学に茜が入ったころから様子がおかしくなった。妙に俺と距離をとるようになった。
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