イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く~お前は俺のもの
 
 頭にきて、もう一度抱きしめて今度は頬にキスをした。目をつむっていたから、口だと思ったんだな。頭来たからじらしてやる。

 「茜。口にしてもいいのか?頬じゃない方がよかったか?」

 頬を抑えて茜はぷるぷる震えている。

 「か、海斗の馬鹿!」

 「お前に馬鹿と言われるようなことはやってないぞ。いいな、茜。今日から俺たちはやっと恋人になる。毎日キスしてればドキドキするだろ?」

 「海斗、本気なの?私なんて……」

 両手を握ってやる。

 「お前のことずっと好きだった。最近は片想いなのかと思って引いていたんだ。まさか、伝わってなかったのか?ちなみに、俺の隣へ越してくるようお前を各所に頼んで誘導したのは俺だ。いいか、茜は昔から許嫁で俺のものなの。誰にもやらない」

 引っ張って抱き寄せる。ただ、こうやって抱きしめるのは昔から普通のことなんだよな。だからドキドキしないのか?

 でも今日は違う。茜が身体を硬くして緊張しているのがわかる。

 「とりあえず、ひとつだけ約束してくれ」

 「何を?」

 「引越はやめること」

 「……」

 「返事は?」

 「……わ、わかった」
< 67 / 250 >

この作品をシェア

pagetop