イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く~お前は俺のもの
 もうおじいさまはほとんど会社に来ない。お母さんの兄である伯父さんが社長なので引退しているのだ。

 昼休みに会長室へ来てくれと言う。
 同期の美紀に今日は一緒に食べられないとメールを送る。

 お昼は会長室でと書いてある。
 どうせ、おじいさまが私に会いたくなって声をかけたにきまってる。

 月に一度くらいそういうことがある。
 私が全然蓮見家に行かないからだ。

 だって、社長が住んでるんだよ。行きたくないよ。
 伯父さんだけどなんか怖いんだよね。

 そんなこと考えて会長室に入ったら驚いた。
 社長がいるじゃん。えー?

 「茜。おう、久しぶりじゃ。入れ入れ」

 おじいさまは相変わらず。嬉しそうに手招きする。

 「おじいさま、お元気そうですね、よかった。社長。こんにちは」

 「茜さん。どうして伯父さんって呼んでくれないんだよ?」

 「え?す、すみません。一応会社では内緒にしているので、普段から……」

 眼鏡の伯父さんはあんまりお母さんに似ていない。兄弟と聞いて驚いたくらい。
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