イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く～お前は俺のもの

　
　「茜。お前達は許嫁にするつもりだったが、一向に真面目に考えておらなんだ。しかも将来まさかこいつのところに跡取りが出来ないとは思ってもいなかったのでな。事情が変わった。新藤君とのことはもう関係ないなら、出来れば家のために協力して欲しい。もちろん清兵衛には伝えてある」

　清兵衛とは新藤君のおじいさまのこと。私が固まって青くなっていると社長である伯父さんが優しい声で言った。

　「無理強いするつもりは毛頭ない。ただ、悪い話じゃないと思うんだよ。高梨君は評判もいいし、茜さんとも今度一緒に仕事するだろうし、今まで以上に距離も近づいてお互いをよく見ればいいと思うんだ」

　そういう問題じゃないよ。本人の意思はどこへ？

　「……あの。高梨君はとてもいい人だしお仕事もできます。でも、それと結婚とは全く別問題です。それに、高梨君だって迷惑ですよね？私が相手なんて。彼の意見を聞いた方がいいです」

　「そう？」

　伯父さんは外に出て秘書に目配せすると、秘書は下がっていった。

　おじいさまが心配そうに私を見た。

　「茜」

　「はい」