イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く~お前は俺のもの
 
 「ごめんね。どうしてもイヤだったの。本当はこの会社じゃないところに内定してたのに、無理矢理入れって言われて、実は学費をおじいさまに少し援助してもらっていたらしくて……」

 「なるほどな」

 「でもどうしても親族だって知られるのはイヤだったの。名字違うから言わなければ誰もわかんないから」

 「確かに。わかんないよ。社長とも似てないしな」

 「ごめんね」

 「いや、謝らなくていい。俺だって黙ってたからな」

 私が下を向いて歩いていて何も話さないのを見ていた彼は、エレベーターの前で並ぶと言った。

 「まあ、そのうち一度さしで飲みに行かないか?お互い話してないことがありそうだ。この際、それをきちんと話し合った方がいいだろう。そうじゃないと、お前が一番困るんじゃないか?」

 私の気持ちを察しているのか、優しい目をして私を見ている。

 「……うん。そうだね。そうしたほうがいいよね」

 「仕事も一緒にすることが多くなるし、顔を合わせることも毎日になる。お互い内緒事はなるべくなくしたほうがいい。この縁談に関係なくね」

 「そうだ……ね」
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