イケメン弁護士は再会した許嫁に愛を囁く~お前は俺のもの

高梨君の変化

 
 その日の夕方。デスクの電話が鳴った。

 「はい。蓮見商事総務部早見でございます」

 「……茜?俺だけど」

 は?どうして海斗?あ、仕事のことか。

 「はい、何でしょうか?」

 「何だよ、その冷たいもの言いは……」

 「お忙しいでしょうから簡潔にお願いします」

 「……茜。お前、まあいいや。去年までの三年分の総会の問答集をメールで送ってくれ。頼む」

 「はい、かしこまりました。メールはどちらに?」

 「あれ?そうだ、お前に名刺渡してなかったな。目も合わせないから、無視されて渡せなかったんだぞ」

 「……わかりました。高梨君に見せてもらいます」

 「いいよ、俺がお前のところにメールするからバックしろ」

 「……え?わざわざいいです。お忙しいんでしょ?」

 「うるさい。すぐに送るから待ってろ」
 
 そう言うと、ガチャンと電話が切れた。
 あっけにとられて受話器を見つめる。

 高梨君と言っただけでこの過剰反応ぶり。まずいよ。絶対言えない。それに高梨君にも言わない方がいいに決まってる。海斗の性格知らないから、高梨君が大変なことになるかもしれないもの。
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