図書館の彼

ふと、公園のジャングルジムが目に入って、小さい頃のことを思い出した。


私は昔、男の子に助けて貰ったことがある。

黒髪の色白で綺麗な顔をした男の子。


外で遊びまくっていた自分はその日、結構大きめのジャングルジムから落下した。

動こうにも動けなくて、後頭部にじわっと生ぬるいものが広がっていく感覚だけがあったのを覚えている。

そんな時、その子が私のそばに来て後頭部を抑え、必死に声をかけてくれた。

間もなくして意識を手放したから、その男の子が何をしてくれたのかは知らないが、助けて貰ったと勝手に思っていた。

気づけば病院に居て、そこには男の子の姿もなく、その1度きりしかあったことは無い。

あの子は今、どうしているだろうか。