ワケありベビーと純真ママを一途な御曹司は溢れる深愛で離さない~君のすべてを愛してる~
「万事順調でしょう。それなのに憂鬱そうですね」
先程のため息を指摘され、肩を竦める。
「日々欲望との戦いなんだよ」
仕事中の発言としていかがなものかと思うが、発散する場もなくもやもやは溜まる一方なわけでつい愚痴ってしまう。
「毎晩一緒にいるのに?」
「毎晩、一緒にいるからだ」
「はい?」
但馬は目を丸くする。
「は、え? 嘘でしょ。まだ手を出してないの?! ってことは、昴は未だにどう……」
敬語を忘れ、さらに但馬は噴き出した。
「おい。失礼だぞ」
ムッとしながら遮る。
「いや、ごめん。てっきり上手くいって、関係が進展してると思っていたから」
謝りつつも面白がっている気がするのは気のせいか。
「経験がないからなんだ。好きでもない女を抱く気もないし、好きな女に無理強いをするつもりもない」
「いや、わかるよ。そうだけどさぁー。でも、それって凄いことだよね。一般的には焦りがでてきたり、経験してみたくて……ってけっこうある話だろ?」
但馬は「賢者だわ」と呟いたが、到底褒められているとは思えない言いようだ。
自分でも堅物の自覚はあるが、こういう性格なのだから仕方が無い。
そんな簡単に手をだせるものなら、学生時代にとうに出している。
そもそも、女性関係において真面目なのは悪いことではないはずだ。
キスをしたいのも抱きしめたいのも花蓮だけで、代わりがきくはずもない。
――――おかげで夢にまでみるほど欲求不満ではあるが。
「風呂上がりは良い匂いがするし、ソファで寝ちゃう時もあって、寝顔がめちゃくちゃ可愛いんだ。無防備な姿ばかりみせられてたまんないよ。ベッドに縫い付けて、数日かけてじっくり愛してやりたい」
「さっきと言ってること違うぞ」
「うるさい。どれも本音だ」
目が合えば、すぐにでも押し倒して仕舞いそうなほど獣と化している自覚があったので、あの夜からは距離を置いている。
どうしてあんなにも初心で可愛いんだ。キスをしただけで顔を赤くして、抱きしめると体をガチガチに緊張させて、密着した体からは高鳴る心臓の音が響いてくる。
子供をひとり産んだとは思えないほど、男に慣れていない。
これほどまでに純真な彼女のすべてを知る男がいるのだと思うと、どうしようもなく嫉妬するが、過去は過去だ。
(――――もう、俺のものだ)
花蓮を手離すつもりなど毛頭ない。
今は拒まれてはいるが、どれだけ時間がかかっても振り向かせてみせる。
花蓮は歩那とふたりで生きるのだと過去を断ち切っていたし、例え今後、現れたとしても自分の方が愛し幸せにしてやれるという自信がある。
(あとは、花蓮自身が踏み切ってさえくれれば……)
触れることに対しては恥ずかしがりはするが、抵抗もなく満更でも無さそうだ。
両思いな気がするのに、どうしていつも壁を感じるのだろう。
愛していると告げれば、花蓮はいつもなにか言いたそうにする。
そしてとても苦しげにして、今にも泣きそうになる。
(何か、言いたいことがあるんじゃないのか……?)
「早間からも企画営業が数名参加するようですが、今日は専務もご一緒だとか」
物思いに耽っている間に、秘書モードに戻った但馬が悩ましげに言った。
先程のため息を指摘され、肩を竦める。
「日々欲望との戦いなんだよ」
仕事中の発言としていかがなものかと思うが、発散する場もなくもやもやは溜まる一方なわけでつい愚痴ってしまう。
「毎晩一緒にいるのに?」
「毎晩、一緒にいるからだ」
「はい?」
但馬は目を丸くする。
「は、え? 嘘でしょ。まだ手を出してないの?! ってことは、昴は未だにどう……」
敬語を忘れ、さらに但馬は噴き出した。
「おい。失礼だぞ」
ムッとしながら遮る。
「いや、ごめん。てっきり上手くいって、関係が進展してると思っていたから」
謝りつつも面白がっている気がするのは気のせいか。
「経験がないからなんだ。好きでもない女を抱く気もないし、好きな女に無理強いをするつもりもない」
「いや、わかるよ。そうだけどさぁー。でも、それって凄いことだよね。一般的には焦りがでてきたり、経験してみたくて……ってけっこうある話だろ?」
但馬は「賢者だわ」と呟いたが、到底褒められているとは思えない言いようだ。
自分でも堅物の自覚はあるが、こういう性格なのだから仕方が無い。
そんな簡単に手をだせるものなら、学生時代にとうに出している。
そもそも、女性関係において真面目なのは悪いことではないはずだ。
キスをしたいのも抱きしめたいのも花蓮だけで、代わりがきくはずもない。
――――おかげで夢にまでみるほど欲求不満ではあるが。
「風呂上がりは良い匂いがするし、ソファで寝ちゃう時もあって、寝顔がめちゃくちゃ可愛いんだ。無防備な姿ばかりみせられてたまんないよ。ベッドに縫い付けて、数日かけてじっくり愛してやりたい」
「さっきと言ってること違うぞ」
「うるさい。どれも本音だ」
目が合えば、すぐにでも押し倒して仕舞いそうなほど獣と化している自覚があったので、あの夜からは距離を置いている。
どうしてあんなにも初心で可愛いんだ。キスをしただけで顔を赤くして、抱きしめると体をガチガチに緊張させて、密着した体からは高鳴る心臓の音が響いてくる。
子供をひとり産んだとは思えないほど、男に慣れていない。
これほどまでに純真な彼女のすべてを知る男がいるのだと思うと、どうしようもなく嫉妬するが、過去は過去だ。
(――――もう、俺のものだ)
花蓮を手離すつもりなど毛頭ない。
今は拒まれてはいるが、どれだけ時間がかかっても振り向かせてみせる。
花蓮は歩那とふたりで生きるのだと過去を断ち切っていたし、例え今後、現れたとしても自分の方が愛し幸せにしてやれるという自信がある。
(あとは、花蓮自身が踏み切ってさえくれれば……)
触れることに対しては恥ずかしがりはするが、抵抗もなく満更でも無さそうだ。
両思いな気がするのに、どうしていつも壁を感じるのだろう。
愛していると告げれば、花蓮はいつもなにか言いたそうにする。
そしてとても苦しげにして、今にも泣きそうになる。
(何か、言いたいことがあるんじゃないのか……?)
「早間からも企画営業が数名参加するようですが、今日は専務もご一緒だとか」
物思いに耽っている間に、秘書モードに戻った但馬が悩ましげに言った。