ワケありベビーと純真ママを一途な御曹司は溢れる深愛で離さない~君のすべてを愛してる~
政略結婚の相手が好きな人でラッキーだったと、そんな気持ちでいていいのか。
自分は姉を犠牲にし、昴の人生も犠牲にしている気がした。

昴も逃げたいかもしれない。
好きでもない自分との結婚をどう思っているのだろう。

そんな時期の昴とのデートで、溜め込んでいた感情が爆発してしまったことがある。

その時何を話したかの記憶は殆どないが、たくさん泣いてしまった事だけは覚えている。
昴の前では嫌われないように慎ましやかに過ごすようにしていたのに、失態だった。

彼にいろいろと自分のことを話したのは、その時が初めてだったかもしれない。
昴は戸惑いながらも優しく扱ってくれた。

悩みながらもやっぱり昴が好きで、ずるずると変わらない日々を過ごした。

親の機嫌に触れないように、このまま昴と結婚できるようにと祈りながら、気配を消して過ごす。
そして花蓮が大学四年になった冬、ずっと消息不明だったゆかりから初めて連絡が来た。

それは、愛する人と結婚して、さらにこれから家族が増えるという報告だった。

どうして今まで連絡をくれなかったのか。
どれほど寂しい思いをしたか文句を言いたい気持ちもあった。しかし、姉という立場ゆえ、ゆかりのほうが、自分よりはるかに辛い思いをすることが多かったかもしれないと思うと、責めることはできなかった。

それより、再会できたことを喜んだ。
ふたりのわだかまりはすぐに解消され、頻繁に連絡を取るようになった。
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