ワケありベビーと純真ママを一途な御曹司は溢れる深愛で離さない~君のすべてを愛してる~
保育園は七時まで。
六時以降は延長保育といって、保育者の仕事が特に遅い園児しか残らない。
1分でも早くお迎えに行かなくてはと、小走りで車に駆けよった。
残業は何度か経験したが、空も真っ暗な中、先生とひとりで待っている歩那を見ると、寂しい思いをさせてしまったかと申し訳なくなる。
今日も最後かもしれない。
九時に寝かせるには、夕飯、お風呂を超特急で終わらせないとだ。動き回る歩那におむつを履かせるだけでも一苦労。歯磨きやドライヤーなどこまごましたことに時間がかかり、すぐに寝る時間になってしまう。
読み聞かせをせがまれると、断りたくなることもしばしばだ。
休憩時間に少し買い物は済ませておいたが、時短の為にはケチらず温めるだけの惣菜も買っておけば良かった。料理をしたら、それだけで30分は時間を取られる。この一年半で、すっかり節約ぐせが染みついていた。
昴から自由に使って良いとカードを渡されているが、家賃も光熱費も頼っているのだから、せめて食費くらいは自分の稼ぎでどうにかしたいので、中々甘えることができないでいる。
「ごめんなさい! 遅くなりました」
「大丈夫だよ。七時までだよね、間に合うから焦らずに行こう」
助手席にすべり込むと、昴が扉を閉める。昴はすぐに運転席にまわりエンジンをかけると、「お疲れ様」と手を握った。
それからすぐに車を出発させる。
「昴さんもお疲れ様です。待たせちゃいましたね」
「大して待っていないよ。一度店内に入って買い物したしね」
「え! うそ。いつですか?」
「花蓮がレジ打ちしてたとき」
昴はふふんとしたり顔をした。
五時以降、レジが込み始めたのでヘルプにはいった時だ。
品出しの時ならまだしも、レジ打ちしているとフロアの状況がわからなくなる。
「やだ。なんか恥ずかしいじゃないですか……声かけてくださいよ」
「見つからないように、こそっと見たかったんだよ。仕事の邪魔したくないしね。会計するときも、花蓮から死角になるレジをわざわざ選んだんだから」
しっかり買い物を終えていて、後ろのシートには歩那のおむつが置かれていた。
そう言えば在庫が少なかった気がする。
「ありがとうございます」
ほんとうに、ちょっとしたひと手間。それを昴がよく気がついてやってくれるから、花蓮の負担は特段に減っていた。
何気ない優しさに触れる度に、ひとりきりで奮闘していた時の、誰にも頼れなかった状況を思いだして胸がいっぱいになる。
これまでの生活を嘆くわけではない。
けれど、本当にありがたくて。
昴が店内に入ったということは、他のスタッフ達に見られたと言うことだ。
元気いっぱい、世話好きな同僚のおばさま達が、放っておくはずがない。
六時以降は延長保育といって、保育者の仕事が特に遅い園児しか残らない。
1分でも早くお迎えに行かなくてはと、小走りで車に駆けよった。
残業は何度か経験したが、空も真っ暗な中、先生とひとりで待っている歩那を見ると、寂しい思いをさせてしまったかと申し訳なくなる。
今日も最後かもしれない。
九時に寝かせるには、夕飯、お風呂を超特急で終わらせないとだ。動き回る歩那におむつを履かせるだけでも一苦労。歯磨きやドライヤーなどこまごましたことに時間がかかり、すぐに寝る時間になってしまう。
読み聞かせをせがまれると、断りたくなることもしばしばだ。
休憩時間に少し買い物は済ませておいたが、時短の為にはケチらず温めるだけの惣菜も買っておけば良かった。料理をしたら、それだけで30分は時間を取られる。この一年半で、すっかり節約ぐせが染みついていた。
昴から自由に使って良いとカードを渡されているが、家賃も光熱費も頼っているのだから、せめて食費くらいは自分の稼ぎでどうにかしたいので、中々甘えることができないでいる。
「ごめんなさい! 遅くなりました」
「大丈夫だよ。七時までだよね、間に合うから焦らずに行こう」
助手席にすべり込むと、昴が扉を閉める。昴はすぐに運転席にまわりエンジンをかけると、「お疲れ様」と手を握った。
それからすぐに車を出発させる。
「昴さんもお疲れ様です。待たせちゃいましたね」
「大して待っていないよ。一度店内に入って買い物したしね」
「え! うそ。いつですか?」
「花蓮がレジ打ちしてたとき」
昴はふふんとしたり顔をした。
五時以降、レジが込み始めたのでヘルプにはいった時だ。
品出しの時ならまだしも、レジ打ちしているとフロアの状況がわからなくなる。
「やだ。なんか恥ずかしいじゃないですか……声かけてくださいよ」
「見つからないように、こそっと見たかったんだよ。仕事の邪魔したくないしね。会計するときも、花蓮から死角になるレジをわざわざ選んだんだから」
しっかり買い物を終えていて、後ろのシートには歩那のおむつが置かれていた。
そう言えば在庫が少なかった気がする。
「ありがとうございます」
ほんとうに、ちょっとしたひと手間。それを昴がよく気がついてやってくれるから、花蓮の負担は特段に減っていた。
何気ない優しさに触れる度に、ひとりきりで奮闘していた時の、誰にも頼れなかった状況を思いだして胸がいっぱいになる。
これまでの生活を嘆くわけではない。
けれど、本当にありがたくて。
昴が店内に入ったということは、他のスタッフ達に見られたと言うことだ。
元気いっぱい、世話好きな同僚のおばさま達が、放っておくはずがない。