不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
☆☆☆

この日は私にとって人生で最も愉快な1日だったと言っても過言ではないかもしれない。
涼香はどうにか優の誤解を解こうと必死で、ご機嫌取りに余念がなかった。

けれど優は涼香を突っぱね続けて最終的には涼香の机から教科書やノートと引っ張り出すと、本人の目の前で切り刻んでしまったのだ。
それは今まで涼香と優のふたりが他の生徒のイジメで行ってきたのと、同じような行為だった。

自分へ向けられた本気の敵意に涼香は愕然とした表情を浮かべて、それ以降優に話しかけることはなくなった。


「ねぇ、一緒にお弁当食べない?」


それでも1人になるのが怖い涼香は普段一緒にいないグループの生徒たちへ声をかけはじめた。
声をかけられた生徒たちは一様に困った表情を浮かべて「ごめんね」とひとこと言うと、お弁当箱を持って教室から出ていってしまった。

きっと、優に目をつけられているから涼香と一緒に食事なんてできないんだろう。
優の怒りっぷりは尋常じゃないから、下手をすれば自分たちまで被害を受けてしまう。

だから、結局涼香は昼ごはんの時間も一人になっていた。
1人きりでお弁当箱を広げた涼香は居心地が悪そうに視線を泳がせている。
涼香以外に1人でお昼を食べている生徒は私と風翔くらいなものだ。
< 104 / 194 >

この作品をシェア

pagetop