不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
そう思うと自然と緊張して、体もこわばった。
緊張で手に汗が滲み、取り落してしまわないようにスマホ両手で握り直す。
画面をアップにして、風翔の顔と手元がしっかりと映るようにした。

風翔は動きが鈍くなったハトを地面に横たえると、右手で彫刻刀を持ち、左手でスマホを持った。
どうやら犯行の様子を自分でも撮影しているみたいだ。

後から見直して楽しむためだろうか。
気持ちの悪さを感じて顔をしかめた。

そして右手を高々と振り上げた時、風翔は笑った。
今までほとんど表情を変えなかった風翔が、とても楽しそうに笑ったのだ。
次の瞬間、彫刻刀はハトの脇腹に突き立てられていた。

ハトがひときわ大きく暴れて羽が飛び散る。
それでも風翔はお構いなしに彫刻刀を何度も何度もハトに突き立てた。
ハトは徐々に動きを鈍くしていき、地面にはハトの血飛沫が舞う。

風翔はすでに動かなくなったハトに彫刻刀を付き立て続けた。
それらのは行為は10分ほどで終わったけれど、その後の風翔の恍惚とした表情にはさすがに寒気がした。
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