不穏ラジオ−この番組ではみんなの秘密を暴露します−
斎藤春菜!?
その名前に私は大きく目を見開き、呼吸をすることも忘れてしまっていた。
教室内での春菜はいつもお菓子を食べていて、ぽっちゃりしている。

それだけのイメージしかなかった。


「なんで、あいつを!?」


思わず声が荒くなる。
正広が好きになった相手が春菜だなんて、信じられない。

あんなヤツのどこがいいのか検討もつかなかった。
あんなデブよりも、見た目だけなら私の方がずっといいはずだ!!


「春菜は優しいからね」


風翔はわかったように答える。
それが気に入らなくて睨みつけた。


「優しい? どこが?」


確かに春菜は私がイジメられていたときに声をかけてくれた。
でも、それだけだ。
私がベランダに閉じ込めらたときには笑っていたことを忘れてはいない。


「あんなデブのどこがいいの」


チッと舌打ちすると風翔が驚いたようにこちらを見つめた。
そういえば普段は自分の本心はすべて心の中だけにとどめていたんだった。
今日始めて私の本心を耳にした風翔が驚いても仕方ないことだった。


「こっちが本当の私だから」


そう言うと風翔は納得したように頷いた。
鳥殺しをしている風翔としても、納得できることがあったのだろう。
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